冷凍保存していたソメイヨシノで草木染め
夏に桜を染める実験を進めているわけですが、本日は「冷凍保存はいつまで大丈夫?」という疑問を払拭するべく、冷凍庫に入れてから今日でちょうど2週間になりましたので、その結果をご報告したいと思います。
事前に冷凍庫で2週間保存しました
2023年8月19日に冷凍庫に入れたものです。実験日は9月2日です。枝は事前に切って、葉は枝と分けた状態でジップロックに入れて保存してあります。
枝はほぼ無臭でしたが、葉っぱは植物特有のニオイが出ていますのでしっかり密閉しておかないと冷凍庫内にニオイがつくかもしれませんので注意が必要です。枝のほうは2週間で特に変化はなく、葉っぱは見た目少し黄色みがかかりましたが・・・そこまで大きな変化はないようです。今回はこれを使用していきます。
いつもより生地を多めにしたせいで
いつも実験では、綿布端切れと紐1mでやるんですが・・・ハンカチサイズ(38cm)の素材が欲しかったので一緒に染めることにしました。そのため20cm鍋だと少し小さかったです。24cmもしくは30cm程度の鍋があったほうが良かったかもしれませんね。貧乏性で、少量・省スペースが仇となりました。
私たちの草木染めのやり方では、生地に対して染液となる材料の重さだったり水の量を決めたりするので、生地が増えるほど用意する容量が大きくなります。そのため鍋に入る水が溢れんばかり、1回に使う枝や葉の量も多くなってしまうなど、染めるサイズに合わせて鍋の大きさも大事ということに気づかされました。
ディスポンでしっかり濃染
綿素材を染めるときの合言葉「ディスポン」。枝・葉と計2回染めるので濃染する生地もたくさんあります。ざっくり言うと、ハンカチ・はぎれ・紐6m・紐30cmを2セット入れまして、総重量25gになりました。熱湯(90℃)3リットルにディスポン12mLを投入し、15分程度ゆらゆら動かしながら染み込ませます。2㎜幅の紐を箸でつまんで揺らしてると、蕎麦を湯がいてる気持ちになります。
冷凍のまま枝と葉を煮出してみる
枝葉を50gずつ用意、水1.5リットル入った鍋にそれぞれ投げ入れます。枝は重さがあるので余裕ですが、葉っぱはモリモリですね。
葉っぱのほうは水1.5リットルでギリギリだったかもしれません。菜箸などでしっかり沈めてあげます。蓋をして20分程度かけて煮出していきましょう!
枝と葉で、煮出した色が違う
少し見づらい写真になりましたが、葉っぱを煮出した液体の色が黄色っぽくなりました。
一方で枝のほうは、赤茶色っぽくなりました。葉っぱは、植物の大部分がもっている黄色成分の【フラボノイド】を枝より多く含んでいるのかもしれません。もうこの時点で染まる色に違いが出そうな雰囲気です。
pH値を少しアルカリに傾ける
枝葉をそれぞれ水切りネットで分けた後、pH値を確認します。何にもしていない時点でpH6~7、そこに重曹0.6gを加えてpH8にします。重曹を加える時に、じ~っと見てると液体の色が変化します。アルカリに寄せると赤味がかり、酸性に寄せると黄色味が強くなります。
染液につけて、媒染液につけて
まずは染液に入れて15分くらい染み込ませます。たまに、空気を含ませたり動かしたりしてあげます。枝は入れてすぐ淡いピンク系の色が生地に入りました。
葉のほうは、ピンクの気配がなく黄色ですね・・・。それでも諦めず、染み込ませていきます。
ちなみに煮出してすぐに生地を入れると100℃近い熱湯なので、生地を傷めてしまいます。60℃くらいまで下げてから始めるのが最適です。
染液に15分入れたら、一度水洗いをします。洗ったら色が落ちちゃう!と思ってしまいますが、生地と結びついた色は残ります。逆に結びついていない染液をそのままに次の工程にいくと、色ムラの原因になります。水洗いは大事!
生ミョウバンを使って、アルミ媒染にします。今回は【生ミョウバン20g:水1リットル】で作りました。枝と葉用にそれぞれ2セット用意します。生地を入れて15分程度かけて染み込ませます。
葉のほうは媒染液に入れると、いっそう黄色くなりました。ここで諦めてはいけません!勘違いしやすい点ですが、媒染液は色止めを目的としていますが、決して媒染液を最後の工程にしないほうが良いです。
最後に、2回目の染液につけて完成!
媒染液の後しっかり水洗いをして、2回目の染液に生地を入れてあげます。そうすると結構な色の変化が発生します。1回目と同様に、15分くらい60℃くらいの染液で染めてあげます。
最後に、水が透明になるよう水洗いして日陰干ししてあげます。
最後までわからない楽しさ
枝は想定範囲内の色でしたが、葉っぱで染めた生地は非常に面白い色になりました。杏子色という表現が一番近い色ですね。写真はまだ濡れているので濃いめに出ていますが、乾くともう少し薄くなると思います。
今回は、冷凍しといた枝葉はいつまで使えるのか?の、第一弾でした。2週間くらいでしたら及第点ではないでしょうか。ピンクが若干弱まった気がしますが、色々な他原因があるかもしれないので第一弾の結果としては問題なし、ということにしました。また2週間後に第2弾を実施予定です。
もっと色が悪くなるかなと思っていたのと、葉で染めた生地の色が新鮮だったので気分アゲアゲです。次回もご期待ください、それではまた。