黒豆で青色に染まるのか12パターン試してみました

9か月前 草木染め

こんにちは、山田です。9月に入っても日中は真夏の暑さで草刈りする元気がありません。どうやら今年は例年より残暑が厳しい年になる予報のようですね。体調に気を付けつつ、秋に向けて頑張ってまいりましょう!

先日、スタッフと話をしていて『結局、青色は藍しかできないの?』と無知な私が気まぐれで言いました。手元の参考書やネットで調べていると【黒豆】が青になりそう・・・という流れになり、実験が始まりました。

結果は、微妙なところでした

先に結果をお伝えしておくと、青よりも「赤と青」のせめぎ合いでした。媒染に引っ張られてしまったという点もありますが、『私が青です』という紳士が現れることはありませんでした。

12パターンの黒豆を草木染めした結果(画像タッチで拡大します)

どんな色であろうとも感動はあるのですが、青出すぞ~!と息巻いて実験をすると嬉しさ半減しちゃいますね。写真はスマホの性能悪いカメラなので、実際の色味とは同じではありません。鉄媒染は量を少しでも多めにしてしまうとグレー系に寄ってしまうので、感動少なめです。銅は青・茶・緑系に寄ってくれるみたいですが、どうもパッとしない色変化でした。

今回の実験のポイント

右も左も知らない状態でしたので、とにかくパターン化させて工程は通常通りという設定で進めました。以下がそのポイントとなります。

  • 一晩水出しができるようなので、水出し・通常煮出しの2パターン
  • 酸性、アルカリ性で色がだいぶ違うようなのでその2パターン
  • 媒染の種類によって色が異なるので、ミョウバン・鉄・銅の3パターン

と、企画はわくわくしましたが・・・計12パターンの制作で6時間かかるのでした。

一晩水出しと煮出しの違い

250g入りの黒豆(購入品)が偶然にも家にあったので、それを使用しました。

24時間ほど2リットルが入る容器に水を入れて黒豆125gを入れておきました。次の日に染み出した液をビンに入れ替えます。使った黒豆は捨てずに料理に昇華できます。草木染めが終わった後、スタッフ藤本が黒豆煮にしていました。横目で私は『味残ってるんかな・・・』と不安げに立ち去るのでした。(※執筆時点でまだ食べてません)

一晩水出しした黒豆のエキス

一目瞭然ですが、通常通り20分沸騰させて煮出した黒豆は、水出しよりハイパー濃くなりました。1リットルの水に62gの黒豆です。比率は水出しとほぼ同じ容量にも関わらず、色は歴然の差です。

通常煮出しした黒豆の濃厚エキス

比較した画像を見ていただければわかりますが、生地に染めた色も通常煮出しのほうが深みがでました。

酸性とアルカリ性の性質変化について

次にパターン化させたのがpH値です。そもそも黒豆に含まれているアントシアニンでは、酸性になると赤系に、アルカリ性で青系になる性質をもっています。ということで思い切って、酸性(pH4)とアルカリ性(pH9)の染液で実験すれば明確な差がわかるのでは、となりました。

水出しでつくった染液に、クエン酸0.2g入れてpH4にしたら赤くなりました(写真左)。逆に重曹0.5gを入れてpH9にしたら濃い紫っぽく黒ずんでいきました(写真右)。何も入れていない染液はpH7になります(写真中央)。

【水出し染液】左は酸性、中央は中性、右はアルカリ性

草木染めの工程は通常通り

あとは準備したものを使って通常工程で進めていきます。作業の流れはデータベースのほうに纏めていますので、気になる方はこちらからご確認ください。

テンション上げやすくするために、酸性染液とアルカリ性染液を同時に行い比較しやすいようにしました。染液に入れてから20分後、取り出すと色に差が出ました。酸性染液は赤系に、アルカリ性染液は緑っぽい青系に。

1回目の染液入れを終えて水洗いしたところ

最後の染液入れが終わった頃には、しっかり色が入りました。酸性染液のほうは、紫の要素が入ったピンク色というんでしょうか・・・桜のピンクとは違うピンク色に染まりました。青色の紳士はまったくいません。

酸性染液2回目が終わった時点

アルカリ性染液は青みがかりましたね!緑色の色素が若干見え隠れしていますが、薄い青系ということにしましょう。

アルカリ性染液2回目の時点

鉄媒染は、木酢酸液2gに対して水200mLでつくりました。超グレーになっちゃいました。。配合比率が悪いのでしょうか。なかなか鉄と友達になれません。

アルカリ性染液の鉄媒染

銅媒染は、銅媒染液2gに対して水100mLと、鉄の時より濃いめにしました。媒染液が青いので超青色に見えますが、取り出すとそこまで青くないです。染液に入れなおすと緑系のほうへ変化してる感じでした。

銅媒染液は「青くするぞ!」って意志を感じます

青らしさは染め上げられなかったが

青を目指していましたが、頭で描いていた【青】とは違いました。アルカリ染液のアルミ(ミョウバン)媒染が一番青に近い結果でした。他の媒染はまだまだ未熟なので今後もバージョンアップが必要ですね。

経験値が少ない今どんな草木染めでも新鮮で、完成するまでの色変化も、生地を乾燥させた後の色も『世界にひとつだけの色』と思える愛着が手に取ってわかります。今後も技術向上のため、いろいろな実験を進めてまいります。さっきやってた占いの運勢が疲れを取れ!だったので、本日はこのへんで。

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